2024.04.24
甲状腺眼症について
こんにちは
先週末は日本眼科学会で教育セミナーでの講演があったので、東京に行ってきました。
夜は眼腫瘍や眼形成を専門とする先生達とごはんに行って、長い間消化不良だったことが解決したので、その話を少し書いて、その後甲状腺眼症の話を書きます。
「目がでてようが、まぶたの形が多少変だろうが、そんなの問題ない」への違和感
眼腫瘍の分野で有名なA先生から、「目がでてようが、まぶたの形が多少変だろうが、そんなの問題ないそんなの治さなくていいんだよ。命さえ大丈夫だったらそれでいいんだよ。それが一番大事」と飲み会のたびに、よく言われてました。
言ってることはよく分かる。けど、「んー、いや違うんだけど」と、腑に落ちてませんでした。
しかし今回、眼腫瘍の診療を数十年しているB先生と話をして、その言葉の根っこにあるものが何となくわかりました。
B先生曰く「眼腫瘍という世界からまぶたの手術を始めると、まずは命のために、腫瘍をとりのぞく。例えばまぶたの大きい腫瘍をとりのぞくと、皮膚に大きな欠損ができる。そこをつなげようとすると、まぶたは変な形になってしまう。
自分では少し変な形に仕上がったなーと思っても、患者さんには「ありがとうございました」とものすごく感謝される
本当にものすごく感謝される。感謝されるから、これでいいんだと思ってしまう
でも今、眼腫瘍の世界から少し離れて、普通のクリニックで、まぶたの手術をしてみると、今まで見慣れてきた仕上がりではだめなんだと気づく。見慣れてきた仕上がりでは感謝されない。今はふつうのまぶたの手術の勉強をしてるよ」とのこと。
患者さんからの感謝はモチベーションの一つであり、それが診療のバロメーター
医者にとって、患者さんからの感謝はモチベーションの一つであり、それが診療のバロメーターでもあります。
医者は、その病気の手術をしたことがない、治療をしたことがない、つまりその病気の患者さんから感謝を受け取ったことがない場合、それは治す必要ないんじゃないかと評価をしてしまうことがあります
その代表的な病気として甲状腺眼症があります。内科の先生や、一般眼科の先生に、外見が変わってきたと患者さんが説明しても、それは治さなくていい、もしくは治せないと言われることも多いです。甲状腺眼症は私達のクリニックのグループで最も治療に力を入れている病気の一つです
甲状腺眼症とは、自分を守るための自己免疫システムの一部に破綻が起こり、目の周りの組織に炎症が起こって、
眼球が飛び出てきたり(眼球突出)、
まぶたが腫れたり (眼瞼腫脹)、
物が二重に見えたり (複視)する病気です。
多くはバセドウ病や橋本病といった甲状腺に関する病気と一緒に起こります。
甲状腺眼症による眼球突出に対して、「目より奥にある脂肪を減らす」美容的な手術ができるのは、当クリニックのグループだけです
目が飛び出てくると、「目が圧迫される感じがする」という違和感が出たり、「自分の顔の変化に気持ちが追いていけず、鏡を見るのも、外に出るのもいやになった」という患者さんもいます
脂肪を減らす手術(減圧手術)を行うことにより、鏡も見れて外出することが楽しくなったと感謝してくれる患者さんは多いです。
当院での「甲状腺眼症」治療症例
目のでっぱりが気になる患者さんはぜひご相談ください。最後まで読んでいただきありがとうございました
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2024.03.19
二重まぶたと一重まぶたの違い
こんにちはまだ今週は寒いですね
明日は久しぶりに大学の先生達とテニスしますが、まさかの雨予報です
来週からは暖かいみたいなんで、来週以降を楽しみに今週もがんばります
「二重まぶたと一重まぶたの違い」
ところで今回は、患者さんから時々質問されるのですが、「二重まぶたと一重まぶたの違い」について書かせてもらいます
二重と一重が見た目として話題に上がるのは日本人を含め、東アジア人に多いです。二重と一重ではまぶたの構造が少し違います。
二重まぶたの場合
二重まぶたの構造について
二重まぶたでは、まぶたを開けたときに折れ込みができて、上の皮膚組織がかぶさり、かぶさった皮膚と睫毛までが二重の幅になります。くっきりと折れ込みができないと、きれいな二重になりません
まぶたを上げる組織である挙筋腱膜(きょきんけんまく)という組織から、皮膚の方へと伸びる組織(穿通枝(せんつうし))が存在するのですが、しっかり折れ込みができるには、この穿通枝がしっかりと機能する必要があります。
また、上からかぶさる皮膚の量も適度である必要があって、多すぎても少なすぎてもきれいな二重にはなりません
一重まぶたの場合
一重まぶたと二重まぶたの違いについて
何が違うかというと、一重まぶたは、眼窩脂肪が下までおりてきて、まぶたが分厚い状態になっています。そのため、まぶたを開けても折れ込みができずに平らなままなのが、「一重まぶた」ということになります。
一重まぶたを二重まぶたにするには?
一般的に手術で、一重まぶたを二重まぶたにする場合、この眼窩脂肪を適切に処理したり、穿通枝の代わりに挙筋腱膜から皮下へと糸をかけて折れ込みができるようにします。
今回は二重まぶたと一重まぶたの違いについてお話しました。
次回は「眼瞼下垂手術と二重まぶた」についてお話させていただきます。
読んでいただけるとうれしいです
最後まで読んでいただきありがとうございました
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2024.03.14
ドクター像
こんにちは今回は自分が思うドクター像について書きます。
前回の自己紹介でのテニスの話で、プロとアマチュアの違い、プロの条件について書きました。それでは、ドクターはどうなんでしょう
ドクターには、いろいろしないといけないことがあります。研究、論文執筆、講演、診療、手術、どれも大変
研究がメインのドクターもいれば、診療がメインのドクターもいます。
ところで、私の親しい友人が、不幸なことにがんになってしまい、手術を受けると聞いていたのですが、「すごく立派な先生に手術してもらえる。日本の医療界でも重職についていて、がんの手術も今までで200件もしていて、研究も手術もなんでもできる大ベテランの先生」
もしかすると一般の方からすると、まったく問題ないように聞こえるかもしれません。ただ私からすると、「200件。それは大丈夫なのか」と疑問でした。
眼科医からすると、手術件数200件というのは、白内障手術で考えてみると白内障手術を始めて、1年目の手術件数です。経験する手術件数として少なすぎる
眼科医の誰もが、「この手術件数で手術をマスターとした」とは思いません。
喉元まで「それは手術件数として十分なものではないし、研究も手術もなんでもできるという医師はなかなか存在しないと思う(もちろん世界を探せばいますが)」という言葉がきてたのですが、完全に他分野のことなのと、もう手術が決まっていて今更不安にさせてもと思い、手術はうまくいくよねとお別れしました
しかし、術後は…執刀医曰く、「こんな事になるのは見たことない」いや、200件では見たことないことだらけのはず
もちろん手術は完璧だったかもしれないし、完璧でもいろいろ起こるのが実際の臨床です。
しかし、だからこそ200件で見える世界などたかが知れてます。「なんでもできる大ベテランの先生」と話を聞いた場面を一生忘れることはできないなと思ってます
私の中のプロとは、毎日その分野のことを考えて、鍛えている事が最低条件であり、そして前々回のブログでも書きましたが、手術件数をこなしていることが必須です。
週に1回とか、手術件数が少ないとか、テニスと同じく、まあアマチュアだよねと思ってます
私は毎日手術をして、自分を鍛えつづけて、眼形成外科のプロとして患者さんに寄り添えるドクターでいたいなと思ってます。
悩んでいる方がいらっしゃったら、ぜひご相談くださいね
最後まで読んでいただきありがとうございました
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2024.03.13
自己紹介
こんにちは👋今回は自己紹介をしていきたいと思います
私は大阪生まれ、大阪育ちですでも大阪弁、あまりうまくないよねとよく言われます
大阪といえば、ボケとノリツッコミで、大阪マインドの強い地域で働く眼科の先生からは『今日も濃かったわー、サングラスを外さずに患者さんが診察台に顔をのせてきたんでちょっと待ってと、とまどってたら、患者さんから「まず診察してや。そんで、いや見えませんやんって言ってもらわんと。ほんま困るわ」って言われたわ』という話を時々聞きます。そんな吉本みたいなところで育ちました(笑)
で、今は京都での生活も14年と長くなってきて、京都loveです。
京都で好きなのは鴨川でのランニングです
ランニングを始めたきっかけは、「プロフィール写真撮影」
そもそもランニングを始めたきっかけは、オキュロのプロフィール写真撮影。
週3回10kmランでダイエットし、ー9kg
ギリギリホームページにのせれる写真が撮れました(笑)
それと八坂神社から清水寺までの散歩も好きです
見てるだけで楽しくなるおしゃれなお店があったり、特にこれからの桜の季節は最高ですスタッフともお花見に行く予定です
真夏の屋外コートのレッスンでの衝撃の出来事
趣味はテニス🎾幼稚園の頃から週一でかれこれ40年弱続けてます。今はテニス仲間の岡田先生に鈴木昴プロ(日本ランキング53位)を紹介してもらい、マンツーマンレッスンを時々受けてます。
40年弱続けているんで、それなりにテニスできるつもりにはなってたんですが、真夏の屋外コートのレッスンでの出来事
2時間レッスンうけて、汗だくになって、水2リットル飲みました
ただプロがまったく水を飲まない
「なんで水飲まないんですか?」と聞くと、「先生には申し訳ないけど、毎日テニスのために身体を鍛えて、それを仕事にしてるプロからすると、先生とのテニスは散歩みたいな感じなんです」
プロとアマの違いについて
衝撃的な出来事でしたが、これがプロとアマの違いだと思いました。
プロとは、一般的にはその職業でお金をもらっていることを言いますが、毎日その職業のために自分を鍛えて磨き上げていることがプロとして最低条件です。
もちろんそれだけでプロになれるわけでなく、センスとかいろんなものが必要となってきますが週一ではやっぱりアマチュアだよねと思い知らされました
簡単ではありますが、趣味メインで書いてみました。身体を動かすことが好きなようです(笑)最後まで読んでいただきありがとうございました
次回、私が思うドクター像について書きます。読んでいただけるとうれしいです
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2024.03.06
開院までの道程
こんにちは👋、オキュロフェイシャルクリニック京都、藤本です。
自己紹介、、、と思いましたが、
今回はオキュロフェイシャルクリニック京都開院までの道程を紹介します。
私は京大眼科の医局出身で、眼科医としてのキャリアをスタートしましたが、ちょっと変わった経路をたどって今にたどりつきました😊。
最初は、白内障や緑内障など、目の中の一般的な病気を中心に診療してました👀
大学の医局のドクターは関連病院で働くのですが、京大の関連病院に一つだけ異色の病院がありました
それが兵庫県の塚口病院(今は尼崎病院と統合)という病院でした。
そこは涙道手術、特にDCR(涙嚢鼻腔吻合術)の手術件数が日本一の病院で、毎日、ほぼ一日中涙道診療(なみだ目の診療)をしているという特殊な病院でした👀💧。
この病院での勤務で、私のノーマルだった眼科医人生が急転回していくことになります
塚口病院の出勤初日、女医の部長から病院長に紹介された時のことは今でも鮮明に覚えています
「こちら、新しく来た藤本先生。今までの先生はほとんど女医さんで、ひさしぶりの男性のドクターだけど、前の男性ドクターは途中で辞めたからなー。男性ドクターにいい思い出なんかないわ」
と言われたんです😅。
実は、前任の男性ドクター
昼間は眼科医、夜は三宮でホスト
をしており、夕方以降連絡が取れないことが多かったみたいなんです。
でも5つも携帯電話を持っていたので、1つぐらい電話番号を教えてと部長が言っても、
「5つとも営業用だから無理っす。先生が携帯電話買ってくれたらそれを持ってもいいです」
と言われたり。。。
そうこうしているうちに辞めてしまったようです
初日から不安な中、スタートした私ですが、せっかく働くなら没頭したいと思い、
毎日朝から晩まで涙道診療に専念しました。
部長も一緒に働いてみるとすごく気さく
お子さん3人を育てながらも日本一の涙道診療を行う魅力的な先生で、
私にとって大きな刺激となりました🌟。
また、病院には毎週のように全国からドクターが
「塚口病院ではどんな感じでDCRをやっているのか?」
と見学に来ていたのですが、
その中にオキュロフェイシャルクリニック理事長の鹿嶋先生がいました。
そして、この時の出会いがきっかけで、眼形成の道を歩むことに
大学に戻ってからは、眼形成・涙道の外来を担当し、さらに眼腫瘍診療にも力を入れるようになりました。
しかし、大学病院ではいろいろな制約があり、手術の枠にも限りがあるため、
多くの患者さんを待たせてしまう現実に直面しました😔
大学でのDCRの手術は一年待ちです。。。
また、外来診療を行うにあたり、2つの壁にときどきぶつかることがありました。
一つ目は、保険での眼瞼下垂手術後に
「左右の二重の幅が違う。左右きれいな二重で形をそろえてほしい。脂肪もきれいにとってほしい」
二つ目は、甲状腺眼症の患者さんに
「とびでた目をなおしてほしい」
でした。
保険診療のみを行っている病院ではこの2つのどちらにも応え続けることはできません。。。
一つ目に関して、保険診療のみを行っている医師は美容外科を受診してくださいと言うことになってしまいます
ただ一方で、美容外科で手術を受けたがうまくいかず、修正の手術でさらに高額な料金を請求されたので、どうにかしてほしいと受診してくる患者さんもいましたし、
美容外科の先生がまぶたの手術は10年で1000件してますとか書いてたりするのですが、
私は1年で1000件近くまぶたの手術をするので、「美容外科を受診してください」
と言うことに違和感を抱いていました。
二つ目に関しては、眼球突出に対してきっちり治療をしているのは
日本ではオキュロフェイシャルクリニックだけだったので、
治療希望の患者さんはオキュロへ紹介してました。
10年以上前から鹿嶋先生には眼形成手術を指導してもらっていましたが、
「東京に来てオキュロ東京での手術を学んで、それで京都でオキュロをしてはどう?」
と誘われ、今抱えている問題が全部解決するなーと思い、引き受けることにしました。
これが京都開院までの道程です
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2024.02.27
オキュロフェイシャルクリニック
京都
こんにちは!このたび2月6日にオキュロフェイシャルクリニック京都が四条寺町に開院しました
オキュロフェイシャルクリニック京都
オキュロフェイシャルクリニックグループの5院目となります。京都院の院長を務めます藤本です。
当グループのクリニックに受診される患者さんは、
「バセドウ病による眼球突出を治したい」
「信頼のおける医院で眼瞼下垂の手術を受けたい」
「他院で受けた手術で変になってしまったのを治してほしい」
「目の下にできたクマを治してほしい」
など様々です。
ただ皆さんの望んでいることは共通していて、この不自由な状態をどうにかしてほしいという願いを持って受診されます。
身体が不自由になると、心も苦しむことになります。私達はその心にも寄り添って治療にあたりたいと考えています。
当院での手術・処置は出来るだけ痛みを少なくするために、局所麻酔であっても点滴から鎮静の薬剤を使用し、笑気麻酔も併用しています。
日帰り全身麻酔を積極的に活用し、不安のある方も不安が少なくなるように努力しています。と硬くなってしまいましたが、ご来院されましたら、お気軽にご相談くださいね
まだブログは慣れず、今もスタッフに教えてもらいながら書いてます(笑)プライベートな内容も混ぜつつ書いていきますので、飽きずによんでいただけたらうれしいです
次回ブログでは自己紹介をします!ぜひ見てくださいね
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